落語に学ぶ話し方
池上彰氏の著書『伝える力』を読みました。この本の中で”落語に学ぶ”という話がありました。わたしは趣味で落語をやっているのですが、確かに話し方を学ぶのに落語は一つの教材になるかなと思いました。
間の取り方が大事
一流の落語家は、とりわけ間の取り方が見事です。一瞬止めて、間合いをとったかと思うと、また立て板に水を流すごとく話を続けます。
ほんの一秒、二秒ではあっても、この”タメ”が効いて、聞き手は、
「次はどうなるんだろう」
「何を話すんだろう」
と興味津々で、思わず弾き込まれてしまいます。
※ P193 第8章 上質のアウトプットをする
わたしは落語教室に通っています。他の生徒の噺を聴いていると、ずっと同じテンポでしゃべってしまう人がいます。
落語は、まず、噺を覚えないといけません。覚えた噺をしゃべることで精一杯になっているケースもあるでしょう。
この点については、講師の人(プロの噺家さん)が、ちゃんと注意をしてくれます。間を取ると良い部分を教えてくれます。
笑いを取りたいセリフの前でちょっと間をためてから、しゃべるようにしています。「面白いことを言うよ」という合図みたいなものでしょうか。
あるいは笑いを取りたいセリフの後、ちょっと間をあける。いわゆる”笑い待ち”というものです。実際に笑いが取れた場合は、笑いが収まるのを待ってから、しゃべり始めるようにしています。
偉そうなことを言っていますが、わたし自身も自分が思っている以上に間を取れていないかもしれません…。
本当は自分がしゃべった噺を録音して聴くと良いのですが、怖いし、自分がイメージしている声と実際の声が違うのが嫌でやっていません。
間の取れた話し方になっているを確認するには、録音して聴いてみるのが一番です。わたしも、うまくなるためにも聴くようにしたいと思います。
会話形式で話す
ビジネスパーソンでも、話の下手な人は、えてしてこの間合いの取り方が苦手です。
話すとなると、緩急をつけることもなく、ボソボソとずっと話し続ける。会議の場などでは、周りの人の顔も見ないで、抑揚もつけずに話すものですから、聞いているほうは飽きてくるし、場の空気も重くなってしまいます。
※ P193 第8章 上質のアウトプットをする
同じテンポでしゃべっている人の話を聞いていると、眠くなってしまうことがありますよね。
大切なのは、”会話形式で話すこと”だと思っています。
わたしは前職で営業をやっていました。サービスの説明をずっとしていると相手が飽きてしまうことに気付きました。
相手に質問をしながら、対話形式で商談をするようになったら、盛り上がるようになりました。
1対1に限らず、セミナーなど大勢の前でも、対話をするように話す。聴いている人の表情や反応、場の空気を感じ取りながら話す。
周りを見ながら話すことは勇気がいります。しかし、反応の良し悪しがわからないと、何が受けているのがわからず、次に活かすことができません。
これは落語も同じで、ちょっと怖いですが、なるべく客席の反応を見ながら、しゃべるようにしています。何が受けているのかを知りたいからです。
場数を踏むこと
落語では”噺百篇”という言葉があります。一つの噺を百回やらないと自分のものにならないという意味です。
素人で落語のうまい人は、場数を踏んでいます。素人の落語大会、老人ホーム、地域の施設、素人だけの寄席など、できる限り舞台に上がっています。
本を読むことで、テクニックを知ることができます。しかし、話し方・伝える力を鍛えるためには、それだけでは不十分だと思います。テクニックを実践して、場数を踏むことで上達していくのではないでしょうか。
池上さんの本には、話し方を学ぶために、落語を聞いてみるのも、一つの方法と言っています。聞くだけでなく、学んだことを取り入れないといけません。
落語を演じる側にまわってみると、より学ぶことができるのではないかと思っています。場数を踏むことができるし、やってみたら結構楽しいかもしれませんよ。
第2弾もあります。